出生率1.20の衝撃
こんにちは。2024年6月5日、厚生労働省が2023年の人口動態統計を公表しました。
それによると、1人の女性が生む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は8年連続で低下し、1.20になりました。https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ReportALL.pdf
東京では初めて1を割り込み、0.99が記録されたそうです。
結婚しない人が増えてきた
政府は少子化対策として、子育て経済支援、すべてのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての促進、安定財源の確保と予算倍増、などを掲げています。
少子化に歯止めがかからない状況ですが、これは結婚しない人が増えてきたことが原因のようです。https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ReportALL.pdf
まず、図表 6-1-1 調査別にみた、夫婦の完結出生子ども数(結婚持続期間 15~19 年)をご覧ください。(下図)
グラフを見ると、出生率と比べ過去からあまり減っていない印象になると思います。このグラフは結婚している人が生んでいる子どもの数を示しています。
実際、1977年2.19、2021年1.90 となっており、13%程度の低下でしかありません。一方、1977年の合計特殊出生率は1.80から1.20へ低下しているので30%以上の低下になります。https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html
つまり少子化の主な要因は結婚している数が減っているということになります。
また希望子ども数の分布をみると、未婚男女ともに 6 割前後は「2 人」と回答し、子どもは二人がよいと考える「二子規範」は維持されています。
結婚へのハードルと独身でいる理由
「1.3 結婚へのハードルと独身でいる理由」の項目では、一年以内の結婚に対する障害では「結婚資金」「住居」「職業や仕事上の問題」が上位にとあります。
以下本文より引用します。
一年以内に結婚するとした場合、何らかの障害があるかをたずねると、第 9 回(1987 年)調査以降、男女ともに 6 割台から 7 割が「障害がある」と回答してきた。今回の調査においても、その割合は大きくは変わらず、男性で 65.2%、女性では 69.3%が一年以内の結婚に障害があると回答している。何が障害になるかを具体的にたずねたところ、「結婚資金」を挙げる未婚者がもっとも多く、男性では 47.5%、女性では 43.0%にのぼる。次いで多いのが、「住居」(男性 22.6%、女性20.9%)、「職業や仕事上の問題」(男性 15.4%、女性 19.0%)である。
さらに、
1975年生まれの女性のうち日本は子供がいない割合が28%に上り、比較可能なOECD加盟国の中で最も高かった。1955年生まれの女性の12%から急増した。
とあります。
まとめ
少子化が進んでいる背景には、多様化の時代になってきたこともありますが、経済的な面での将来への不安が大きいといえるのではないでしょうか。
賃金はこのところ上昇傾向にありますが、物価上昇を加味した実質賃金でみると、25か月連続で下がっています。
若い人たちの経済的不安から少子化が進むという負のスパイラルを抜けるためにも、賃金が増加し、景気がよくなった実感をみんなが感じられるようになってほしいものです。