今回の新型コロナウイルスは多くの人から職を奪いました。総務省の統計では、失業者数は176万人を超え、帝国データバンクによるとコロナで倒産した企業は142社になりました。このままでは戦後最大の失業率になるかもしれません。一刻も早い収束を願ってやみません。

社会には失業で困った人を支える仕組みがあります。必要な人は制度を利用して、困難を乗り切ってもらえたらと切に願います。今回は失業で困ったときに利用したい社会保障についてお届けします。

雇用保険

1週間に20時間以上勤務するときは雇用保険に加入しています。加入者が離職した場合は離職票を持って失業の認定を受けることにより基本手当をもらうことができます(受給資格の要件あり)。たとえばコロナの影響(倒産や解雇など)で離職した場合、申請して7日間の待機後に給付を受けられるので、早めに行動することが大切です。離職票を受け取ったらすぐハローワークで手続きを行いましょう。なお緊急事態宣言の期間中、ハローワークでは密を避けるため特別措置で対応しています。

〈従来〉ハローワークへ来所して求職の申込みをする。その後、雇用保険説明会などを経て、認定日(4週間に1回)に来所して失業の認定を行う。

〈特例〉ハローワークは業務を縮小しており、労働相談は電話で、申請書などは郵送する。その後の認定日は、郵便での対応が望ましい。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000642982.pdf

住宅確保給付金

失業によって家賃の支払いが難しいことがあるかもしれません。くらしの空間がなくなるのは深刻です。そこで活用したいのが「住宅確保給付金」。失業などで家賃の支払いに困る人に向けに従来からあった制度が、コロナの影響で要件が緩和されました。

〈対象者〉離職、廃業から2年以内、または休業などで収入が減り、住まいを失うおそれがある人
〈支給期間〉原則3か月(求職活動実績により延長可能、最長9か月)
〈支給額〉1人世帯5万3700円、2人世帯6万4000円、3人世帯6万9800円(東京23区在住の場合)
〈支給方法〉家賃の金額を自治体から家主さんに支給する

問合せ窓口は、お住まいの自立相談支援機関まで
https://www.mhlw.go.jp/content/000626236.pdf

生活困窮者への支援制度

生活に困った人に向けて、住宅確保給付金のほか、「自立相談支援事業」「就労準備支援事業」「家計相談支援事業」「就労訓練支援事業」「生活困窮世帯の子どもの学習支援」と生活全般にわたる充実したプログラムを全国に設置しています。ひとりで悩むことはありません。支援事業を活用しましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html

生活保護

国が生活に困っている人に対し、健康で文化的な生活を送れるよう支援する制度です。
最低生活費(厚生労働大臣が定める基準で計算される金額)と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、差額が保護費として支給されます。相談や申請窓口は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

健康保険の軽減、減額、免除

雇用保険の加入者で、倒産、解雇、事業縮小などやむを得ない離職により基本手当を受給するときは、国民健康保険料が7割軽減されることがあります。

この判断基準は離職票の離職区分によりますが、自己都合の退職は対象外です。軽減の対象か気になるときは、お住まいの国民健康保険窓口で確認してください。

また、コロナの影響により収入が減少して一定の基準を満たした場合、減額、または免除になることがあります。要件は次のとおり2つ。
(1)コロナの影響で生計維持者が亡くなる、または重症になった世帯
(2)コロナの影響で生計維持者の収入の減少が見込まれ、一定の要件に該当する世帯

お住まいの自治体によって対応が異なるので、こちらも窓口に確認してから進めるとよいでしょう。

国民年金の猶予、免除

納付が困難なときは窓口で相談することで、納付の猶予、または免除になることがあります。

「臨時特例措置」として、コロナの影響により2月以降、業務の喪失や売上の減少など収入が相当下がった場合は、所得見込み額の申告で「免除」の手続きができるように。
また、学生も収入が相当下がった場合は同様の手続きで「学生納付特例申請」が可能になります。申請書は添付書類と一緒に住民票のある自治体、または年金事務所に郵送すればOK。未納は将来の年金受給に影響するので、困ったときは猶予や免除の申請を必ず行いましょう。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/0430.html

住民税の猶予

コロナの特例として最大1年間の「猶予制度」があります。要件は次のとおり2つ。
(1)コロナの影響で令和2年2月以降の1か月で事業などの収入が前年同期と比較して約20%以上減っていること
(2)一時的に納税することが困難なこと

健康保険料や国民年金保険料のような免除制度はないものの、本来納める延滞税がかからずに一時的に支払いを遅らせることができます。住民税の納付が困難な人は、お住まいの納税窓口で相談してみましょう。

このように困った人に向けて、政府はセーフティネットを取り揃えています。現在は窓口も縮小していますので、まずは電話で確認の上、アドバイスをもらって適切なサービスを受けてください。